竹林の駆除方法として、除草剤を竹の内部に注入する方法と、実際に試した効果について、報告していきたいと思います。竹林の管理に困っている方、体力・時間・資金をかけられないという方はぜひ試していただきたいと思います。
用意するもの
竹に注入する除草剤。グリホサート系(ラウンドアップ、サンフーロン等)を用意します。通常の除草では数十倍に希釈して使いますが、竹の駆除には原液で使用します。目や体に付着しないよう取り扱いには注意してください。
除草剤を注入するための容器。スポイトなどは先端が細いので穴に差し込みやすいですが、除草剤の原液は粘度が高いため、充填・注入に時間がかかります。また除草剤補充用の容器を別に持ち歩かなければならないので、シャンプーの空き容器がおすすめです。
竹に穴を空けるために使用。竹は柔らかいのでパワーがあるものでなくても大丈夫です。ホームセンターで数千円で購入できます。
除草剤注入後の穴を塞ぐために使用。
その他用意したほうがよいもの
- ・ビニールテープ・・・注入後の竹につける目印。マーカーや紐等なんでもOK。
- ・ビニール手袋・・・除草剤が手に付着するのを防ぐため、軍手の下に着用する。
今回除草剤を注入する竹藪です。Google mapで確認した面積は約500m2 程度。(※拡大を防ぐため2年前から外周の竹を「1m残し」である程度伐採してあります。)
それでは注入作業を始めていきましょう。
竹に穴を空ける
地上30cm~100cmの竹の節に、電動ドリルで穴を空けます。この時節の中間~上側に空けるようにしてください。下側に空けると後々中から薬液がこぼれてしまいます。地面から低すぎると注入がしにくくなるためシャンプー容器が使いやすい高さに穴を空けてください。
穴から除草剤を注入する
電動ドリルで空けた穴に、除草剤の原液を注入します。容器1プッシュで約5ml出ます。今回は2プッシュ(10ml)注入しました。(竹の太さに応じて多少回数を調整しています。)
穴をふさぐ
ガムテープを使って穴を塞ぎます。雨水などの異物が流入して薬液が薄まることを防ぐためです。数ヶ月すると剥がれてしまうこともありますが、結果として竹は枯れたので問題ないと思います。
注入済の竹には目印を
注入作業は全ての竹に行います。隣りに生えている竹どうしでも、地下茎は別の可能性があるからです。
面倒ですが除草剤注入後の竹はわかりやすいように目印を巻いておきます。数本程度なら問題ないですが数十本、数百本単位で作業をしていくと、注入済みの竹と未注入の竹の判別に意外と苦労します。根本付近のガムテープも死角になってしまうこともあるので、目線の高さくらいに全方位から確認できるような目印をつけておくのがおすすめです。
また、注入後に新竹が生えてくる場合があるので、新竹を判別して追加で除草剤を注入するためにも目印は必要です。写真では100円ショップで買った黄色のビニールテープを一周巻きにしています。
除草剤注入後の結果はどうなったか?
- 2ヵ月後(葉が枯れ始める)
40%程度の葉が茶色になり、落葉し始めています。竹藪の中は既に散った葉で埋め尽くされていました。
同じ日に撮影した別の竹藪ですが、比較すると違いがよくわかります。
- 3ヵ月後(ほぼ落葉し幹も枯れ始める)
全ての葉っぱが枯れ、竹の幹もほとんどが茶色に変色しています。葉っぱがすべて散ってしまった竹もあります。暖かくなって活動の時期に入ったせいか急速に枯れている印象です。
特筆すべき点は、竹の子が一切出てこなかったこと。この竹藪では例年4月下旬から5月上旬頃にかけて多いときは、1日20本近く生えてきていたのですが、今年は一本も生えませんでした。
また、竹草は生えてきます。特に竹藪からやや離れた位置から多く生えてきたので、注入した除草剤の到達が遅れているのかもしれません。ただ大きく成長することはなく、生えてきた後にそのまま枯れてしまう竹草もありました。
4カ月後(全ての幹が枯れる)
除草剤を注入した全ての竹が落葉し、幹も茶色く枯れました。正直4ヶ月でここまで効果がでるとは思っていませんでした。
10カ月後
- 全ての竹が枯れました。枯れて風で倒壊した竹は処分しています。全体的にスカスカになった印象です。緑色に葉が茂っている部分がありますが、これは除草剤注入後に何本か生えてきた細い竹草です。
結果まとめ
除草剤の注入時期は、竹の活動が活発な夏に行うことが良いとされていますが、今回のように冬に注入をした場合でも、1年以内に枯れることがわかりました。新規のタケノコが生えてこなかったことからも、地下茎に大きなダメージを与えることができたと考えてよいと思います。今後枯れた竹を処分する際に地下茎の状態についても確認していきます。
除草剤の注入処理は、目印のマーキングも含めて1本あたり1~2分程度です。1時間作業を続ければ、30本以上は処理することができます。既に生えていて枯れた竹は最終的に伐採・処分しないといけませんが、新規の竹がほとんど生えてこないので、枯れた竹だけ片付ければ竹藪を整理できることになります。
数年に渡って伐採を続けなければならない、全伐皆年法や1m残し伐採法に比べてはるかに少ない労力で竹を駆除することができます。
除草剤注入法の注意点
今回の除草剤の注入で注意すべき点、気づいた点を挙げていきます。
1.除草剤注入後に生えてきたタケノコは食べられなくなる。
今回は注入後に新しいタケノコは生えてきませんでしたが、万一生えてきても除草剤を含んでいるため食べられません。また他の方が食べてしまわないよう、事前に周知を行ったり看板をたてておく必要もあります。
自分の土地のタケノコを無断で採る人はいないだろと思うかもしれませんが、その辺りの意識がゆるい感じの田舎だと意外と採って食べている人もいます。(ほっといてもどうせ誰も食べないからええやろ、というのもあると思いますが)私も看板を立ててから初めて訪ねてきた方がいて、そのとき初めて自分の敷地のタケノコを採っていた方がいたことを知りました。
たとえ無断であっても、知らずに食べてしまった人が体を壊してはこちらの気分も悪いので、確実に周知できるようにしておきましょう。
2.竹藪に雑草が増える。
竹が落葉すると竹藪の中まで光が届くことになり、雑草や雑木が大量に生えてきます。新規の竹が生えてこないので、竹以外の植物の勢いが増します。除草剤注入前に比べて竹藪の中の雑草の処理の手間が増えることになるため注意が必要です。
3. 枯れた竹が周囲に倒れる。
枯れた竹は数年で倒れ始めます。周辺に他人の物件や畑などがある場合、放置した枯れ竹が倒れて被害を与えてしまうことになるため、遅くとも倒れそうな兆候が見えた竹は速やかに処分する必要があります。
前述のように除草剤注入後の竹藪内には、雑草が大量に生えてくるため、作業性の良い冬のうちに計画的に処理を進めておくことが重要です。
4. ラウンドアップの安全性と注入後の環境への影響に注意
結論などを述べることはできませんが、ラウンドアップやグリホサート系農薬の発がん性がたびたび議論の的になっています。人体に与える毒性については国際がん研究機関(IARC)でも評価が二転三転しており、日本に比べ農薬の安全性に関する基準が厳しいEUなどでは規制が進んでいるという事実もあります。
ラウンドアップの公式サイトでは、「有用植物の植付けを予定している場所では使用しないでください。」との注意書きがあります。除草剤注入後に生えてきた竹の子は当然食べられませんが、地下茎の中に含まれる薬剤が土壌中に流出する可能性や、地下茎を含む地中に残留する期間など、駆除後の土地を活用したい場合は特に考慮が必要だと言えそうです。
労力の少ない駆「竹」手段として選択肢にいれておく
除草剤を用いた駆除方法は、比較的短期間で効果が表れ、少ない時間と費用で竹林の拡大を抑制したい人にとっては非常に有効な選択肢といえます。しかし効果が大きければ大きいほど、急激に竹藪周辺が様変わりし、生態系を含めた環境への負荷が大きくなる懸念もありますので、使用範囲と目標を明確にして計画的に使用してください。
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