竹は日本各地に生息しています。食用ではタケノコが食べられている他、強度に優れ加工が容易であるため工芸品や建築・農業用の資材としても利用されており、日本人にとってなじみが深い植物です。
しかし近年竹材の需要の低下や、管理の大変さから放置された竹林がその範囲を拡大・周囲へ侵入し、大きな問題となっています。私の相続した土地にも竹林があり、周囲の畑に侵入するなどの被害が相次いだことから、竹を減らして最終的には全て駆除することにしました。
伐採を検討しましたが、限られた時間の中で完全な駆除まで持っていくことは困難だったため、今回は除草剤を用いた駆除を行い、その成果について報告したいと思います。特に私のように県外に土地があり、管理に時間をかけられない方に参考にしていただきたいです。
竹は生命力がとても強い
竹は成長速度がとても速く、1日で1m近く伸びる場合もあります。その強い生命力で短期間に広範囲に拡大し周囲を浸食します。
竹林が拡大すると日光を遮ったり、地中に根を這わして他の植物の成長を阻害してしまいます。また、民家などの敷地にも侵入し、床下から生えてきた竹が畳を突き破るなどの被害も報告されています。
一度拡大した竹林の駆除は困難
私たちが普段地上で見ている竹は、一般的な樹木のように1本1本独立して生えているわけではありません。地下40cm付近に「地下茎」と呼ばれる根っこが張り巡らされていて、その根っこから私たちが目にする竹(タケノコ)が地上部に生えてきます。
竹が光合成で作り出した栄養は地下茎に蓄えられ、その養分は新しい竹を生やすためにも使用されます。そのため地上部の竹を伐採しても、地下茎に養分がある限りどんどん新しい竹が生えてくることになるので、根絶が非常に困難になります。雑草では駆除が難しいとされている「スギナ」や「セイタカアワダチソウ」なども同じ構造をしてます。
このため竹林を根絶するには「地下茎」を枯らすor取り除くなどして無力化する必要があります。
竹林の根絶には地下茎を無力化することが必要
地下茎を無力化する手段はいくつかあります。
Ⅰ. 地上部に出てきた竹を継続的に伐採する。
竹を伐採して光合成をさせないことで、新たな栄養を作り出すことを防ぎます。新たな栄養供給がなければ、いずれ地下茎の栄養が枯渇して、地下茎自身も枯死します。方法としては
- 連年全伐式・・・数年かけて地上部の伐採を行う。光合成を防ぐことにより地下茎を徐々に 弱らせていく。
- 1m切り・・・休眠期に地上1mの高さで竹を切る。成長時期に切り口から地下茎の水分・養分が流れ出し枯れる。
以上の方法が考えられます。しかし後述しますが竹の成長スピードが速いため、地下茎を弱らせるほどの竹を伐採には多くの労力と数年にわたる期間が必要になります。
Ⅱ. 地下茎を掘り出す。
次に地上部の竹を伐採後、重機で地面を掘り返して地下茎ごと物理的に取りのぞく方法です。
直接原因となる地下茎を排除することができますが、重機やオペレーターの手配が必要になり、多額の費用がかかってしまいます。
伐採による根絶はむずかしい
竹の問題点として成長スピードが速いことを挙げましたが、一年でどれくらい竹が増えるのか推定してみます。推定する竹林の大きさは標準的なバスケットコート(面積420m2)と同じとします。
一般的に一年で親竹の10~20%の新竹が生えてきます。
竹の密集度は4000[本/ha]=0.4本/m2程度なので
バスケットコート1面に生える竹の本数 : 0.4[本/m2]×420[m2]=128本
1年で新しく生えてくる竹の本数 : 128[本]×20[%]≒26本
つまりバスケットコート1面分の広さの竹林でも年間26本くらいの新竹が生えてくることになり、現状維持だけでも多くの竹を伐採し続けなければなりません。継続的に伐採を行う場合でも、処理できる本数が少ないと、竹の増殖スピードが勝ってしまいます。
伐採~後処理まで行うと重労働
竹は中が空洞であるため、切り倒すこと自体は意外と簡単です。運動不足サラリーマンの私でも、竹鋸で1分程で切断できます。
しかし切った竹をその場に放置する場合は別として、伐採~運搬~枝打ち~集積といった後処理までの工程が必要になります。(私の場合は竹一本あたり10~15分程度かかってしまいます。)
また、竹林が斜面に生えていたり・密集度が高い・集積場所まで距離があるなどの条件が悪ければより多くの時間が必要になります。
このような伐採を毎年根気よく続けることは、遠方に生活の拠点がある方や女性・高齢の方にとって大きな負担になります。
短期間で駆除するためには除草剤がおすすめ
私が試した中で身体的・経済的負担がすくない方法として、おすすめなのが、「除草剤を竹の内部に注入」する方法です。この方法だとすみやかに竹を枯らすことができ、短期間で竹林の拡大を抑制することができます。
次の記事では除草剤を実際に使用した結果を報告したいと思います。
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